この記事は、私個人の家計管理と資産形成の体験をまとめたものです。特定の金融商品や投資額を推奨するものではありません。現在の資産額、貯金額、給与額、住宅ローン残高などは公開していません。記事内で公開する具体的な家計金額は、月3万円の積立額のみです。投資には元本割れの可能性があり、最終的な判断はご自身で行ってください。
「毎月、いくらまでなら投資に回して大丈夫なのだろう」
以前の私は、この問いに答えられませんでした。
家計簿を見れば、今月いくら使ったかは分かります。銀行や証券口座を開けば、現在の残高も確認できます。それでも、子どもの教育費、車の買い替え、住宅の修繕、老後資金まで含めたときに、毎月いくらなら無理なく積み立てられるのかは分かりませんでした。
投資する余裕がまったくなかったわけではありません。
むしろ問題だったのは、余裕があるのか、ないのかを判断できる材料がなかったことです。
そこで、CodexとClaudeを使い、わが家専用のLifePlanシートを作りました。
最終的に完成したのは、今後約30年間の収入、生活費、教育費、住宅関連費、投資、副業、年金などを年単位で計算し、複数のシナリオを比較できるExcelです。
このシートで過去の収支と将来の支出を確認した結果、私は「月3万円なら、家計の余裕を残しながら継続できる」と判断しました。そして、新NISAで全世界株式型の投資信託への月3万円の積立を始めました。
この記事で伝えたいのは、「AIにおすすめの投資先を決めてもらおう」という話ではありません。
AIを使って家計の未来を見えるようにすると、漠然とした不安が、今日取るべき具体的な行動に変わる。
私が実際に経験した、その過程を紹介します。

家計簿だけでは、未来のお金は分からなかった

家計簿には、大きな役割があります。
- 今月の収入と支出を確認する
- 使いすぎた項目を見つける
- 固定費や無駄な支出を見直す
- 現在の貯蓄ペースを把握する
一方で、家計簿が主に記録しているのは、すでに起きたことです。
私が知りたかったのは、その先でした。
- 子どもの教育費が増える時期はいつか
- 車と家電の買い替えが重なったらどうなるか
- 外壁や屋根、水回りの修繕費をどう準備するか
- 本業の収入が減った場合でも暮らしていけるか
- 副業をどこまで育てれば目標に近づけるか
- 毎月いくらなら投資を継続できるか
- 退職後、年金を受け取るまでの期間をどうつなぐか
こうした問いに答えるには、今月の収支だけを見るのでは足りません。現在の家計に、将来の予定を重ねる必要があります。
日本FP協会の家計チェック資料でも、家計の収支表、バランスシート、ライフイベント表、キャッシュフロー表を組み合わせる方法が紹介されています。キャッシュフロー表は、教育費がかからなくなる時期や退職時期までを見据え、20〜30年分を目安に作るとされています。
つまり、LifePlanシートは単なる長い家計簿ではありません。
今の暮らしを続けた場合、数年後、十数年後、老後のお金がどう動くのかを確認するための地図です。
LifePlanシートとは何を計算するものなのか

LifePlanシートでは、現在の収入と支出に加えて、将来起こる可能性のある出来事を年表に並べていきます。
現在の家計
- 本人と配偶者の手取り収入
- 副業など本業以外の収入
- 基本生活費
- 住宅費
- 光熱費、通信費、保険料
- 教育費
- 車両費
- 現在の現金、投資、負債
将来のライフイベント
- 子どもの進学
- 習い事や教育費の増加
- 車の買い替え
- 家電やエアコンの買い替え
- 外壁、屋根、水回りの修繕
- 家族旅行や帰省
- 住宅ローンの返済
- 退職
- 年金の受給開始
計算に使う前提
- 収入が今後どう変化するか
- 生活費が物価上昇によってどう変わるか
- 投資に回す金額
- 想定する運用利回り
- 副業収入の成長率
- 年金の見込み額
- 大型支出が発生する年
J-FLECのライフプランと資産形成の解説でも、どのような人生を送りたいかを考え、いつまでにどれくらいのお金が必要かを具体化し、途中で見直すことの大切さが示されています。
ただし、これだけの情報を自分でExcelにまとめようとすると、かなり大変です。
CodexとClaudeに何をしてもらったのか

私がAIに依頼した作業は、大きく分けて三つあります。
頭の中にある条件を整理してもらう
最初から、すべての条件が整理されていたわけではありません。
AIとの会話を通じて、次のような質問を一つずつ整理しました。
- 何歳まで働く想定か
- 配偶者の収入はいつまで続くか
- 子どもの教育費は、どの進路を想定するか
- 教育費は現金で準備するか、投資も使うか
- 車は何年ごとに買い替えるか
- 住宅修繕を何年後に見込むか
- 年金はいつから、どの程度受け取る見込みか
- 生活防衛資金をどの程度残したいか
- 副業が伸びた場合、どの程度を投資に回すか
数字を計算する前に、何を計算するべきかを整理する作業が必要でした。
この壁打ちでは、Claudeを中心に使いました。条件が不足している部分を洗い出し、複数の考え方を比較しながら、わが家の価値観に合う前提を決めていきました。
Excelの構造と数式を作ってもらう
条件が決まった後は、Codexを使ってExcelの構造や数式を組み立てました。
私が作ったLifePlanシートは、次の8シートで構成されています。
- ダッシュボード
- 前提
- キャッシュフロー
- シナリオ比較
- 副業収入の必要ライン
- 教育費
- シナリオ計算
- 副業の逆算計算
入力する前提と、計算結果を表示する場所を分離し、入力セルを変更すれば各シートが自動的に再計算される構造です。
実際のブックには2,116個の数式が入っています。これを自分だけで一から作ろうとしたら、途中で諦めていた可能性が高いと思います。
新しい情報が分かるたびに更新する
LifePlanは、一度完成させれば終わりではありません。
その後も、実際の年間手取り、保険の見直し結果、年金の見込み額、住宅ローン金利、積立設定、固定費、大型支出などが分かるたびに修正しました。
私の運用では、CodexがExcelや正本ファイルの整理を担当し、Claudeは広い読解や難しい条件整理、セカンドオピニオンとして使っています。詳しい使い分けは、ClaudeとChatGPT(Codex)を併用して分かったことでも紹介しています。
重要なのは、「魔法のプロンプトを一度入力したら完成した」という話ではないことです。
AIと何度も会話し、実際の資料と照合しながら、少しずつわが家専用のシートに育てていきました。
実際に完成したLifePlanシート

完成したLifePlanシートでは、入力した条件から、今後約30年間の家計を年単位で確認できます。
ダッシュボード
ダッシュボードには、現在選択しているシナリオ、各年の収支、将来の資産推移、目標に到達する見込み時期、複数シナリオの比較、副業収入別の結果をまとめています。
前提シート
前提シートには、家族の年齢、本業と副業の収入、生活費、住宅費、教育費、投資額、運用利回り、年金、車や住宅修繕などの大型支出を集約しています。
前提を一か所に集めることで、「どの数字を変えたら結果が変わったのか」が分かりやすくなりました。
シナリオ比較
未来は一つに決められません。
そこで、標準的なケースだけでなく、副業が伸びない、教育費が高くなる、物価上昇が続く、運用結果が低くなる、住宅修繕が早く発生するといった慎重なケースも比較できるようにしました。
一つの未来を当てにいくのではなく、条件が変わったときに家計がどこまで耐えられるかを見るための機能です。
実際のブックや画面には非公開の家計情報が含まれるため、この記事には掲載していません。公開用の例を作る場合は、実データを加工するのではなく、最初から架空の数字だけで別ブックを作ります。
月3万円の積立を始められた理由

私は以前から投資自体はしていました。ただし、定期的な積立ではなく、余裕があると感じたときに購入し、その後はしばらく止まるという状態でした。
理由は、「毎月この金額なら続けられる」という根拠がなかったからです。
過去1年間の実際の収支を確認した
LifePlanを作る過程で、過去1年間の家計を整理しました。月ごとのばらつきはあっても、年間で見ると一定の黒字が出ていることが分かりました。
ただし、黒字額をそのまま全額投資に回したわけではありません。
将来の大型支出を先に入れた
次に、子どもの教育費、家電・車の買い替え、住宅修繕、家族旅行、退職後の生活費など、今後発生する可能性の高い支出をLifePlanへ入れました。
毎月の家計だけを見て黒字でも、大型支出が重なれば現金は大きく減ります。そのため、現在の黒字だけでなく、将来の支出を含めて積立額を考えました。
現金の余裕を残した
投資に回せる最大額ではなく、収入の減少、物価上昇、急な修理や医療費があっても続けやすい金額を選びました。一定の現金を残したうえで、標準、慎重、楽観の複数シナリオを比較しました。
その結果、私の家計では、月3万円なら将来の支出に備えながら継続できると判断しました。そして、新NISAで全世界株式型の投資信託への月3万円の積立を始めました。
AIに「この商品を月3万円買いなさい」と命令されたわけではありません。商品、値動きへの許容度、残したい現金、心理的に続けられる金額を考え、最終的に決めたのは私自身です。
金融庁のNISA特設サイトによると、つみたて投資枠は年間120万円で、NISA口座で得た運用益は非課税です。私が選んだ月3万円、年間36万円は、制度上の上限から決めた金額ではなく、わが家の収支から逆算した金額です。
NISAは、各家庭に適した投資額や商品を決めてくれる制度ではありません。
LifePlanを作って変わった4つのこと

漠然とした不安を、具体的な問いに変えられた
LifePlanを作る前は、「将来、お金が足りなくなったらどうしよう」と考えていました。しかし、この問いは広すぎます。
シートを作った後は、何年に支出が増えるのか、どの支出が家計へ大きく影響するのか、積立額や固定費を変えると将来がどう変わるのか、収入減へどこまで耐えられるのか、と分解できるようになりました。
不安が完全になくなったわけではありません。ただ、「何が分からないのか」が分かるようになりました。
副業の目標に理由ができた
以前は、副業について「もっと稼げたらいい」と考えていました。しかし、それだけでは目標が曖昧です。
LifePlanでは、副業収入を複数の水準に変え、将来の資産推移がどう変わるかを比較できます。その結果、まずどの水準を目指すか、その収入を何に使うか、どの程度を投資へ回すか、本業と副業の時間配分をどうするかを考えやすくなりました。
「稼げるだけ稼ぐ」ではなく、家族の目標を実現するために、必要な金額を逆算するという考え方に変わりました。
使ってよいお金も見えやすくなった
将来が見えないと、「できるだけお金を使わない方が安全だ」と考えやすくなります。
しかし、必要な積立、教育費、修繕費などを先に確保できれば、それ以外のお金については、以前より納得して使えるようになります。家族旅行や子どもとの体験まで、すべて削ることが家計管理ではありません。
お金を使わないためではなく、使いたいところに安心して使うためにLifePlanを作る。私にとっては、この意味も大きいものでした。
一度の予測ではなく、更新できる仕組みになった
LifePlanは未来を当てるものではありません。収入も、物価も、家族の希望も変わります。
給与、保険、通信費、住宅ローン金利、年金見込み額、副業収入、家族の希望など、情報が更新されるたびにシートを修正しています。
LifePlanは完成品ではなく、現実に合わせて更新する家計の地図になりました。
AIでLifePlanシートを作る手順

最初から完璧な数字を集める必要はありません。まずは、おおまかな数字で全体を作り、後から正確な資料に置き換える方法でも十分です。
現在の年間収支を整理する
最初に必要なのは、毎月の細かなレシートではなく、年間の手取り収入、生活費、住宅費、教育費、保険料、車両費、特別支出、副業収入と経費など、家計全体の大きさです。
月額と年額、額面給与と手取り収入を混ぜないよう、単位と定義をそろえます。
今後の大きな予定を書き出す
進学、車・家電の買い替え、住宅修繕、旅行、引っ越し、退職、年金受給開始など、金額が大きくなりそうな出来事を年表にします。
金額が分からなければ、最初は概算でも構いません。いつごろ、どのような支出が発生するかを見落とさないことが大切です。
計算の前提を決める
収入の増減、生活費の上昇率、投資の想定利回り、副業収入、年金、教育費、退職年齢などを決めます。一つに決め打ちせず、標準ケースに加えて慎重なケースも用意します。
AIに構造を作ってもらう
AIへはいきなり家計資料を丸ごと渡さず、まず匿名化した条件で構造を作らせます。
30年間の家計を確認できるLifePlanシートを作りたいです。
目的は、将来の教育費、住宅関連費、車の買い替え、
老後資金を考慮しながら、毎月いくら積み立てられるかを
判断できるようにすることです。
次のシートを作ってください。
・ダッシュボード
・入力前提
・年間キャッシュフロー
・ライフイベント
・教育費
・シナリオ比較
・積立額の比較
要件:
・入力値と計算結果を分離する
・入力セルを色分けする
・計算結果は手入力せず、数式で連動させる
・標準、慎重、楽観の3シナリオを比較する
・物価上昇率と運用利回りを変更できるようにする
・年ごとの収入、支出、年間収支、年末残高を表示する
・前提が不足している場合は、勝手に補完せず質問する
・数式と前提条件の一覧を別途説明する
・特定の金融商品を推奨しない
最初は架空の数字で作り、構造が完成してから自分の数字に置き換える方法もあります。
複数の条件で壊れないか確認する
完成したら、収入をゼロにする、大型支出を追加する、積立額を変える、赤字年を作るなど、数字を変えてテストします。
年齢と西暦のずれ、支出の二重計上、切れた数式、非表示シートの個人情報も確認します。AIが作ったExcelでも、最終確認は必要です。AI出力をそのまま公開しない理由は、AIで作ったブログ記事の公開前チェックとも共通しています。
AIに任せてよいこと、任せてはいけないこと

AIはLifePlan作成に向いています。ただし、すべてを任せるものではありません。
AIに任せやすいこと
- 必要な入力項目の洗い出し
- 情報の整理
- Excelのシート設計
- 数式の作成
- 年ごとの繰り返し計算
- 複数シナリオの比較
- 積立額別の結果比較
- 不足している前提の指摘
- 表やグラフの作成
人間が決めること
- どのような人生を送りたいか
- 子どもの教育をどう考えるか
- 現金をどの程度残したいか
- どの程度の値動きに耐えられるか
- 何歳まで働きたいか
- 家族旅行や趣味をどの程度大切にするか
- 副業にどれだけ時間を使うか
- 最終的にどの金融商品を選ぶか
AIが出した数字は、自然な見た目でも間違っている可能性があります。税金、社会保険、年金、住宅ローン、NISAやiDeCo、教育費、保険、法律や申告義務は公式資料と照合し、必要に応じて専門家へ確認します。
AIは専門家の代わりというより、相談する前に状況を整理し、質問を具体化するための道具としても有効です。
家計情報をAIに渡すときの個人情報対策

LifePlanでは、収入、資産、住宅、家族、年金など、非常に多くの個人情報を扱います。便利だからといって、資料をそのままAIへ渡すのは避けるべきです。
入力しない情報
銀行・証券の口座番号、クレジットカード番号、マイナンバー、パスワード、ログインID、契約番号、社員番号、実名、詳細な住所、学校名、個人メールアドレス、電話番号などは、通常のLifePlan計算には必要ありません。
名前は記号に置き換える
実名の代わりに、本人、配偶者、子ども1、子ども2といった記号を使います。正確な生年月日が不要なら、現在の年齢や生まれ年だけにします。
書類は必要な項目だけ抜き出す
給与明細、源泉徴収票、年金資料、住宅ローン資料を丸ごとアップロードせず、計算に必要な数字だけを転記します。
画像やPDFを使う場合は、氏名、住所、勤務先、口座番号、個人番号、社員番号、契約番号、QRコード、バーコードを除きます。ぼかしだけでなく、可能なら必要部分だけを安全に再入力します。
AIサービスのデータ設定を確認する
個人情報保護委員会の注意喚起は、生成AIサービスの利用規約やプライバシーポリシーを確認し、入力する情報に応じて利用を判断するよう求めています。
ChatGPTではデータコントロール、Claudeではプライバシー設定を確認できます。ただし、設定を変えれば何を入力しても安全になる、という意味ではありません。
最も有効な対策は、計算に必要のない情報を最初から渡さないことです。
公開用シートは別に作る
実際のLifePlanシートをブログに掲載する場合、数字だけをぼかしたスクリーンショットでは不十分です。
Excelの非表示シート、数式、コメント、作成者情報、名前付き範囲、外部参照、ローカルファイルパス、グラフの元データにも情報が残る可能性があります。
公開するときは実データを加工するのではなく、最初から架空の数字を入れた公開専用ファイルを作る方が安全です。
まとめ
AIでLifePlanシートを作っても、翌日に収入が増えるわけではありません。将来の運用結果を正確に予言できるわけでもありません。
それでも、私の行動は変わりました。
以前は、
毎月いくらなら投資してよいのか分からない。
という状態でした。
LifePlanを作った後は、
将来の大型支出と現金の余裕を考えても、わが家では月3万円なら続けられる。
と判断できるようになりました。その結果、止まっていた積立を始められました。
私にとって、AIでLifePlanを作った最大の価値は、将来の資産額が表示されたことではありません。
未来が見えないために先送りしていた行動を、今日から始められたことです。
LifePlanは、人生の正解を出す表ではありません。どの前提で計算したのか、何が変われば結果が変わるのか、今のままで実現できることは何か、どこを改善すればよいのかを見えるようにする地図です。
最初から完璧な30年計画を作る必要はありません。現在の年間収入、年間支出、今後10年以内の大きな予定。この三つからでも始められます。
AIに人生を決めてもらうのではなく、自分で人生を決めるための材料を、AIに整理してもらう。
それが、私が実際に使ってみて感じた、AIによるLifePlan作成の一番大きな価値です。



コメント